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ケース1:茱萸 ( グミ )の舎

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戌井×山下 6/26 新宿マシェーズ

■悩まない暮らし(システムづくり)

——80年代は悩むことから逃げる時代で、90年代はその反動で悩むのが格好いい、みたいな時代だったと思うんですが、いまはその次の時代というか、耐えるのでも逃げるでもない生き方がなんとなく求められている気がします。

 僕ら二人めっちゃくちゃ悩んでると思いますけどね。

 悩まないってどういうことだろう・・・忘れていくことなのかな・・・Theピーズだっけ、悩み事が多すぎてわかんなくなっちゃったみたいな・・・どんな歌詞だったかな・・・やりたいことが多すぎて、何もできなくなっちゃってっていう・・・

——でも鬱にはならないっていう。

 絶対鬱っぽくなってるときとかあるでしょ? 100パーセント。そういうのじゃなくて、明るくさせてあげればいいかな。(・・・)

↓↓↓

 俺この間別府で取材してたんですよ。そしたら一個だけ面白いのがあったんですね。茱萸 ( グミ )の舎っていう、ラブホテルを買い取って、男7人、女28人っていう、楽園のような男女比で共同生活して洋服作って、「なかしま」っていうお店を別府とか大分市内にいくつも持って、売ってた集団なんですけど。

 服はどんな服つくってるの?

 おばさんの服ですね。相当儲かってるんですよ。共同生活って言っても、この人たち共産主義みたいなのもないし、宗教くさいのもない。なんか職住一体になったユートピアづくりをするって当時の社長が50歳くらいではじめて、いまその娘さんがあとを継いでやってるんですけど。で、いまだに金持なんですよ。送り迎えベンツでやってもらって。本つくりましょうよっていったら、興味ないって。自分たちがすごい面白いことやってるって意識がないんですよ。

——今の高円寺みたいなかんじじゃないですか。

 でも俺らはもうけようとしてるわけじゃないし。一緒に寝泊まりしてるわけでもないですしね。お金もみんなばらばらだし。

——洋服は全部別府で売ってるんですか?

 別府と大分市で売ってて。別府なんてそんな高い服買っても遊びにいく場所がないから、遊び場も自分らで作ってたんですよ。ダンスパーティとか読書会とか・・・そういう時はうちの服きてきてくださいなっていって。いまだにホタル見にいくツアーとか。

 女の子たちはどこからきたの?

 最初に始めた中島三郎って人の娘さんの友達とか・・・あと当時はオーダーメイドが多かったから、全国に文化服装学院とかドレスメーカー学院とかの分校がいっぱいあって、別府にもドレメと文化があったらしくてそっから来たりしたみたいですね。

——普通のコミュニティじゃないんですね。

 だからたぶん、コミューンとかってなんか気持ち悪いじゃないですか。たいがいセックスでぐちゃぐちゃになっちゃって、みんな距離を取ったりして。あとは、たいがいコミューンって、そういう思想があるやつらが集まってやるじゃないですか。でもそうじゃないコミュニティって実は別府に限らず、どこにでもあって、いまも日本中にあるんじゃないかなって思うんですね。

 でもその中島さんがすごかったんだろうね。

 おれもそう思ってたんですけど、中島三郎がカリスマっていうわけでもなく、全員がそれぞれ面白かったっぽいんですよ。このひとのこれがあったからついてったっていうのがあまり無いんですよ。だからよけいむかつくんですよ。せっかく取材してるんだから、なんかの答えだしたいじゃないですか。こういうのに似てるだとか。なんにも似てなくて。たぶん女社会だからいいのかなって。男が作ったんだけど、女子校が共学になったみたいな比率なんですよ。男がいえーいって言うかんじもできず。娘さんのだんなさんも大阪で超一流企業で働いてたらしいんですけど、ドロップアウトして、こっちきてアイロンがけかなにかやらされてたらしいし。そのだんなさんのお母さんも茱萸 ( グミ )の舎にいたらしくて、もう70歳になってるのに、働くのがこんなに楽しいなんてって言ってる。

——宗教とかだとそういうの多いですけどね。

 なんかこっちも答えを出したくなるじゃないですか。宗教とか、革命狙ってるんじゃねえの? とか。でも極端に言えば、茱萸 ( グミ )の舎 の肝は「金」だったんですよね。

 大体こういう共同体になると、金のこと排除しようとするじゃん。そういうのも全然なく、まとまって金儲けしようとすると、みんなそっち向かうのかもね。

 うんうん、プラスそうなっちゃったら金、金、金、になっちゃうじゃないですか。そっちにもいかない。

 ITの人とかはそっちいっちゃったもんね。

 ITとかも最初はこうだったと思うんですよね。家帰れねえからもうとりあえずここに住んでやってみようよとかさ。

 でもやってるのが楽しかったんだろうな。服つくるみたいな感じで。

——悩まない暮らし(システム)のモデルになりますね。

 まねできないですけどね。

■金持ちのD.I.Y.

 めっちゃ儲かってましたよ。金持ちのD.I.Y.ですね。だから。金持ちってやな奴だろうなって思ってたけど、こんないい奴らがいるんだって感動しましたね。みんなが幸せに暮らせればいいやみたいな。

 始まって30年くらい?

 会社自体は57年に出来て、一緒に住みはじめたのは70年代の終わりらしいです。で「文芸春秋」とか朝日新聞とか、どうにかこいつら思想あんじゃねえかって探ってたんですけど、とくにねえわみたいな感じで。別府っつったら温泉観光地なのに、そこに頼ってもないんですよ。

 そうだよね。旅行に来た人が買う訳じゃないもんね。

 なんか別府って別荘があったり、旅館のおかみさんとか、そういう人が買うらしいんだよね。

 別に大安売りしてるわけじゃないんだ。

 うん、いまはオーダーメードやってなくて、海外からカーディガン買い付けて5万円で売ってたりだとか。一番高い店にバカラの時計があって、世界に4つしかなくて700万って書いてあるんですよ。でもお店5件くらしかないんですけど、どこにもただでお茶できるカフェがあるんですよ。

 じゃあほんと地元のおばさんが集まりやすいサロンになってるんだ。けっこう東京の洋服やでもおばさんがだべってるもんね。

——じゃああんまり排他的でもないんですね。

 コラボしましょうよって言われて(笑)

——素人の乱と?

 いやですって言いましたけど(笑)。でも月に一回東京にお花習いに来てるっていってたから、会えますよ。

——たしかにD.I.Y.ブームとかあるけど、突き抜けない感じがあって、そういうのどうにかしたいっていうのありますよね。

 D.I.Y.って結構けちくさいところあるじゃないですか。でもこの人たちはお金あるのにそういうことをやってる。しかも自分たちはD.I.Y.なんだ! とか言わないんだよね。

つづく

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コメント

グミの舎、気になってました。

話を垣間みれてうれしいです。

会いたいです。

茱萸( グミ )の舎の人に。

投稿: ぽこぽこ | 2009年7月17日 (金) 20時56分

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